FilpinObento (フィリピノ弁当)
このネームセンスはイルーヤンさすが。
英語だと Filipino と Obento の ”O"を重ねているから、とてもクレバー!日本語だと中々このクレバーさは伝わらない。
FilpinObento (フィリピノ弁当)
このネームセンスはイルーヤンさすが。
英語だと Filipino と Obento の ”O"を重ねているから、とてもクレバー!日本語だと中々このクレバーさは伝わらない。
そこで私たちは、プロジェクトを立ち上げようと考えた。
イルーヤンの絵が本当に好き。
もうキャンペーンは終了しているけど、いつか絶対にアジアン食堂サラに行きたいと思う。 https://camp-fire.jp/projects/view/268774
4月以降、フィリピンへの帰国便は7回もキャンセルされた。
翻訳を始める前にイルーヤンがフィリピン語で原文を読み上げて、録音をしたものを送ってくれた。
この部分を読み上げている彼女の声は、今では力強く、乗り越えた困難を後から語る様子だった。でも、そのころは本当に辛かったんだろう、とその力強い声の裏にはある種の弱さの余韻もあるように感じた。
2月から3月にかけて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関するニュースがどんどん広まり、帰国できるかどうか不安になる一方だった。その数ヵ月後、私たちが恐れていたことは現実になってしまい、フィリピンへの帰国予定日の1週間前に飛行機がキャンセルされた。
イルーヤンからこういった話を直接される前にもこの問題は認識していた。周りの大切な人が日本に帰国できない、もしくは日本を出て母国に帰れないという状況が続いていた。その時に感じた不安は本当に辛かったんだろうと思う。この不安は本人にしか分からない。しかし、この気持ちを持って生きている人は世界中にたくさんいる。
少しでもこういう状況に置かれる人の数が減るように、こういう気持ちを和らげるように政府への訴えかけが必要だと思う。声を上げることが必要だと思う。こういったイルーヤンの言葉が人に行き渡ることが大事だと思う。
私の名前はセシル・ポーリン・サングラップ・モンテネグロ、もしくはイーラング、移民であり、フェミニストであり、アーティストでもある。
このプロジェクトの一員であるネスから、フィリピン語の"kapwa"という言葉を教えてもらった。
"kapwa" とは「他者」という意味でフィリピン語の中で使われている。だがこの言葉には「他者」という単純な意味だけではなく、「自己」と「他者」の調和という意味も持つそう。英語や日本語の「他者」は、「自己」と対立して使われている。これに対して、"kapwa"は共有されたアイデンティティ、つまり他者と共有された内なる自己があるという認識だそう。他者はあくまでも「自己」の延長線。「あなたは私。私はあなた」という意味を持つそうだ。
この翻訳をしていく中で、"kapwa"をすごく意識した。 私の言葉でイルーヤンの言葉をなぞる、つまり彼女の文章が私の中を通って、再構築されるわけである。
彼女は私、私は彼女、つまり「他者」と「自己」の境界線を行き来しながら文章を訳していった。
コロナ禍で困難が続く中、今最も重要なのは「empathy (共感や共有)」だと思う。
イルーヤンの言葉を訳すことで、私は彼女の言葉を日本語で共有できる。日本で「他者」とされる移民や外国人労働者の現状を伝えることができる。
これが私のとって、このプロジェクトの一番の成果。
こうしたニュースに対して、私は毎日絵をスケッチして彫っている。浮世絵からインスピレーションを得て、フィリピンで起きていることや私たちと同じように世界各地で取り残されている移民の状況を想像しながら制作している。
イルーヤンが「他人」が立ち向かっている困難を絵にしていること。これも一種の翻訳だと私は思っている。イルーヤンが絵に訳し、文章に訳し、それをまた私が日本語に訳す。
これも、「他者」と「自己」の境界線をどんどん崩していく方法ではないかと思う。
いろんな人のために、自分のために、手先で物語を作り、強さと希望を描く。
この翻訳プロジェクトの中で、私は"kapwa"の訳になる言葉をずっと探してた。 最終的に考え付いたのは、
多分自分 maybe me 他文自文 another's text my text
イルーヤンの文は完全に自分のものではない。でも、どこかで何か繋がる部分が私も、そして誰でもあると思う。多分私。。。。そして、「他」の人の文章が「自」分の文章になっていく。
そんな思いを込めて、上記の言葉を作った。
でも、私と同じような状況の出稼ぎ労働者たちはどうしているのだろう?家族に会いたいのに日本から出られなくなり帰国できずに悩んでいる学生たちは? 私たちのように、母国にいる子供のことを常に心配しながら生きている親は?
この問いかけは今でも注目するべき。日本の鎖国的な政策によって離れ離れになった家族、日本に来れない学生、経済的困難に立ち向かう人々… 今も続いている状況ということを忘れてはいけない。
強さと希望を描く
英語版のタイトル"Drawing Strength and Hope in Artmaking" は直訳をすると「アート制作から強さと希望を引き出す」ということになる。しかし英語では"Drawing"は「引き出す」と「描く」の意味を持つ。英語タイトルは作品を作る(描く)ことで力を(引き出す)とういう二重の意味を"Drawing"に込めている。これは日本語にはニュアンスは訳せないため、シンプルに「描く」にした。