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  1. Nov 2019
    1. 中国の飛躍的な発展に大きく貢献した1994年の税制大改革(分税制改革)

      ◯1980年代の改革開放によって、計画経済時代の国庫歳入源(国有企業の利益上納や農産物価格の鞘抜き)が駄目になった結果、中央財政はカラカラに。

      ◯地方の既得権を保障しつつ、新規の歳入を中央財政側に思い切って傾斜させる歳入再分配を実現したこの分税制改革は今世紀に入ってから絶大な効果を挙げ、中央財政の所得移転能力を飛躍的に高めた

      ◯一方で、地方財政が窮乏し、公共サービスが低下したり、赤字を埋めるための不透明で迂回的な資金調達が蔓延した

      ◯習近平政権は2014年から中央・地方の財政改革に再び取り組んでいるが、十分には進んでいない。

    2. 中国社会には事業の管理運営を任せて簡潔明快なベンチマークでパフォーマンスを監督する「請負(承包)」という永年の慣行がある。「地方分権型権威主義」は、地方行政を党書記や首長など党政幹部に任せる際に、税収やGDP成長率をベンチマークにして幹部同士を競わせる競争メカニズムを本質とするものだ。この仕組みは税収やGDP成長率さえ上げれば良かった2000年代前半に威力を発揮し、中国地方経済の成長を牽引した。  しかし、2016年ノーベル経済学賞を受賞したホルムストロームらが明らかにしたように、地方幹部(エージェント)が相互に背反する複数のベンチマーク(マルチ・タスク)を課されると、パフォーマンスが計りやすい仕事にばかり傾注するといったバイアスが発生してしまう。税収に加えて、環境も保全し、労働権も保護し、社会の安定を確保し・・・と、多数の任務を同時に課す今の中国地方分権主義は、まさにこの問題に直面しており、「情報の非対称」問題が避けられない単線型の「一党支配」では解けそうもない。

      中国の地方分権型権威主義 regionally decentralized authoritarian (RDA) regime